【イタリアの話】アート観/芸術観、のような話

アート/美術/芸術/絵画をアカデミックに学んでもいないし、絵画自体にそれほど大きな興味を持っていない人間の戯言であることは先に述べておきます。イタリア、というと芸術の国でもあると思うので、俺も二つの美術館に行ってきた。一つはヴァチカン美術館。もう一つはフィレンツェにあるウフィッツィ美術館。ヴァチカン美術館には「最後の審判」、ウフィッツィ美術館には「ヴィーナスの誕生」「春(プリマヴェーラ)」という超有名な作品が収められている。まあ、それ以外にもたくさん「名画」と呼ばれる作品とか彫刻が収められている。んで、そういった名画を実際に目の当たりにすることができたのは良い機会だった。ただ、体が震えるほど興奮するかと思いきや、別にそんなことは無くて「おおー!本物だ!!」くらいにしか思えなかった。もちろん、これは間違いなく俺自身に素養がないからだと思うんだけれど、なんか「タモリを街中で見かけた」くらいの感動みたいな感じかなあ。実際には俺はタモリを生で見かけたことが無いんだけれど、なんとなく「漫画の登場人物を実際に見た」みたいな感覚に陥る、っていうのは知っていて、それらの名画も「教科書に載っている絵を実際に見た」みたいな感じと言えばいいのかなあ。もちろん、生で見ることによって、教科書ではちゃんと見ることができない箇所とかを詳細に見ることができた、というのは良かったと思うのだけれど。

ルネサンス期の絵とかを見たりするときれいだなーと思うこともあるし、凄いなーとも思うこともあるのだけれど、やっぱりその上まで行かない。これは芸術的素養がないのに加えて「自分にとってリアリティが無い」からかな、と思う。作品に取り扱われているテーマ(神話だったり、キリスト教だったり)が自分にとってリアリティの無いものであることも然ることながら、これらの時期の絵って当たり前だけれど俺生まれてないんですよ。1970年代とかそんなレベルじゃない、1400年代とか1500年代とか、それくらいの時期の絵。んで、これは完全に個人的な趣味・感性でしかないし、しかもそれらの趣味・感性も「主観的に見てそう思う」っていうレベルなんだけれど、俺は「リアリティ」だったり「生活感」だったり、ひいては「息遣い」が感じられるものが好きだと思うんですよ。絵だけじゃなくて、写真とかもそうだし、音楽もそう。そういった息遣い+作品の素晴らしさ具合で感動できたり、できなかったり、という節があるんじゃないかなーって思っている。そんで、これらの美術館に収められていたルネッサンス期の作品からは少なくとも俺は息遣い、リアリティ、生活感を感じることができなかったから、それほど感動できなかったんじゃないかなー、と思っている。

そういえば、ヴァチカン美術館にはダリの絵も数点収められているんだけれど、個人的にはどちらかというとルネサンス期の名画たちよりも、そちらの方が「おおっ」ってくるものがあったなあ。まあ、ダリの絵も新しいものじゃないけれど、少なくとも彼の作品が生きていた時期はルネサンス期よりは俺にとって身近だし、リアリティがあるし、なんとなく息遣いも感じることができた、と思う。

と、ここまで書いて思ったんだけれど、絵画などの芸術作品だとミニマルで無機質でリアリティが無い作品も好きなことを思い出した。あと、ダリほど最近じゃないけれど17世紀あたりのレンブラントの絵とかも結構好きなやつあるしなあ。そんで、それらを生で見たら結構興奮できると思うだよなー。うーん。まあ、いいや。とりあえず俺には美術を語れるほど教養も蓄積も無いし、美術への価値観も確固たるものでは無いってことでフェードアウト。



あ、イタリアで見た名画たちが見る価値がなかった、とは言わないです。美術における一種のアイコンたちであると思うし、そういうのを生で見るのも良い経験だったと思う。