高木正勝×中納良恵×中村達也×森本千絵『Bibliophina』を聴いた

Bibliophina

 最近、CDのレンタルをしまくっていて積読ならぬ、積音源が増えている。邦楽の新譜は少し待てばレンタルできるので便利だなあ、やっぱ。今さらだけど。さて、この音源もレンタルして積んでいた音源の一つ。高木正勝*1、EGO-WRAPPINの中納良恵、そして中村達也というスキルの高いミュージシャンが集ったユニットというかプロジェクトの作品。ちなみに森本千絵って人はアートワークを務めた人でこのプロジェクトの発起人らしいっす。んで、この3人というのは2013年の秋に流れていた石原さとみが出演する「オンワード」のCM音楽も担当していて、そこから発展したプロジェクトみたい。

 tr1は高木正勝のピアノと中村達也のドラムによる楽曲。多分、一発録りだと思う。。二人のインプロが素晴らしい化学反応を生み出している。んで、インプロっていうとなんとなくわかりにく感じがするけれど、全然そんなことはむしろすげーポップ。ドラムとピアノという組み合わせ、さらにはポップネスを持ち合わせているからだと思うんだけれど、どことなくMouse On The Keysっぽいなあ、と感じた。tr2はピアノソロの曲でメロディはtr1と同じような感じ。これはこれで良かった。んで、tr3からピアノ、ドラム+中納良恵を加えた楽曲。中納良恵はボーカルでの参加だけれど、歌うっていうよりスキャットっぽい感じ。これもtr1に引き続きセッションがベース。曲の旋律も同じような感じなんだけれど、ボーカルが入ることによって一種の煌びやかさみたなものが加えられていて、これも個人的には良いなあと思った。ただ、tr1では結構前面に出ていた中村達也のドラムが少し引いてしまったかなあ、と思った。達也のインプロ好きなんだよなあ。そんで、tr4は3人のユニットにさらにクラリネットを加えたセッション。この曲は20分を超える曲なんだけれど、正直ちょっとダレたかなあ。テンションが上がりそうで、なかなか上がらない感じがじれったい。テンションが上がってもMAXまでいかない感じ。まあ、いい曲ではあるんだけれど。んで、tr5~7はちょっと蛇足というか「これ別にいらんなあ」って思った。tr5がドラム×サックス、tr6がドラム×ボーカル、tr7がボーカル×サックス、みたいな感じ。そんで、tr8がオンワードのCMに使われた曲。これはなかなかカッコいい。けど、短い。CM音楽だからしゃーないか。

 全体的に少しお腹いっぱいに感じるアルバムかなあ。豪華なメインディッシュを食べてお腹いっぱいにもかかわらず、さらにデザートが立て続けにこれでもかこれでもか!と出されてきて「もういらんわ」って感じでしょーか。ただ、tr1とtr3のメインディッシュは間違いなく良い曲でその2曲だけでも聴く価値が十二分にある。これぞインタープレイ、というやつでしょうか。すげえポップで且つジャジーなので、一種の「オシャレ感」みたいなものもあるなーと個人的には思った。あと、音楽やっている人が聴いたら色々とイマジネーションが掻き立てられるんじゃないかな。

*1:おおかみこどもの雨と雪」の音楽作った人、といえば分かりやすいかな