くるり『The Pier』を聴いた

THE PIER (初回限定盤)

 くるりほど知らない人にその音楽性を伝える事が難しいバンドはなかなかいないと思う。当然、特徴が無いというわけではないんだけれど、「どんな音楽やってるバンド?」って聴かれた時に説明しづらい。とりあえず、聴いてもらうしか伝える手段がない。特に最近のくるり、もっと言えば『魂のゆくえ』以降はそんな感じがする。それ以前は結構それぞれのアルバムに明確なコンセプト、みたいなところがあった。もちろん、バンドにとってはそれぞれのアルバムに対して多少なりともコンセプトはあるんだろーけれど、聴いていて分かりにくくなったよなあ、と思う。そして『The Pier』もそんな感じ。このアルバムをコレコレこういう内容で、と説明するのは難しい。

 けど、やっぱりtr5"Liberty&Gravity"がこのアルバム全てを象徴しているのかなあ、と思う。この曲は先行でMVが公開されていた。みんな変な曲だ、変な曲だと騒いでいたけれど、俺は別にそこまで変な曲じゃなくね?と思った。けど、普通にいい曲。ロックンロール、エスニック、民謡といった様々なジャンルを並べて煮込みまくったような曲。変化球のようにみえるけれど、実はストレートな曲なんじゃないかな、と思う。そして、この『The Pier』って曲もそんな感じだと思う。めちゃくちゃストレートなウタモノの音楽が詰まっていて「普通にいいアルバム」だと思う。「普通に」って言うとなんだかそこまで評価していないように聞こえるかもしれないけれど、そういうわけじゃなくて。うーむ。説明しづらいのだけれど、詰まるところ「音楽ってこうだよなあ」って素直に思える感じ、といえば良いのかなぁ。

 で、この感覚が何似ているのかというと俺のなかではビートルズなんだよなあ。もちろん、くるりビートルズと肩を並べた!とか言うわけじゃない。あ、全然関係ないけれど昨日【炎上率脅威の9割強】絶対に叩いてはいけない危険ジャンル四天王。というクソみたいな記事を読んだのだけれど、ディスると一番ヤバいことになるのはビートルズだと思っている。話が逸れた。そう、ビートルズなんですよ。もちろん、やっている音楽の表現の仕方は全く違うのだけれど、ビートルズというバンドとくるりというバンドはいろんなところに手を出しているけれど結局やっているのは「音楽」と言えるんじゃないかな。ロックだとかポップスだとかパンクだとかオルタナティヴだとかジャズだとかそんなんじゃなくて、音楽。

 そんで、このアルバムもそうです。これは音楽のアルバム。