【読書】「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

読んだ。まず、最初に書いておくけれど、俺は初音ミクの曲はほとんど知らない。「みくみくにしてあげる」と「メルト」と「千本桜」くらいしかちゃんと聴いたことがないと思う。あと、Google ChromeのCM曲である「Tell Your World」かな。それくらいしか知らない。また、初音ミク周辺のムーブメント、シーン、カルチャーに関しても少しは知っているが、当事者、、、熱心なリスナーでもクリエイターでもない。そーいう音楽好きだけど、初音ミクはよー知らん、だけど、ブログを書いているようにある程度のネット文化については知っている、という立場での感想。

まず、ビックリしたのが初音ミクが登場して7年もの月日が経っている、という点。びっくりしたというか、焦った。そら、俺も年取るわ。んで、当時も今のように俺は音楽が好きで、且つインターネットにもどっぷりだったので、彼女(とあえて書く)が登場した時の状況はよく覚えている。インターネット上では「やっぱり、機械っぽさがあって無理があるよなー」とか「すぐに消えるでしょ」みたいな声が多かったように思える。また、周囲の音楽好き、バンドサークルの面々、バンドマンでも存在は知らなかったり、知っていても無視している、みたいな感じ。まあ、「コレを使ってなんか面白いこともできそうだねー」という話もしたりしたけれど。

たしか、一番最初に聴いた曲はニコニコ動画で聴いたフィッシュマンズの「ナイトクルージング」をカバーさせた曲だったと思う。今、調べたらもう消されているみたい。俺はフィッシュマンズ大好きなんですけど、それを聴いて「おぉ、なかなかええやん」みたいな感想を持った。その後、色々とオリジナル曲がアップロードされていくようになったのは、ご存知の通りだけど、そこはハマらなかったんすよねぇ。というのも本書で書かれているように初音ミクの楽曲は音楽的に情報量が多いんだけれど、俺はそーいう情報量が多すぎる楽曲はあんまり得意ではないので、あんまりなぁ、と思ってたので。

まあ、そんなわけで初音ミクが生まれて7年経っている。ニコニコ動画での遊びから生まれて、現在では商業的にもなかなかの成功を見せている。だけど、俺が面白いなー、って思うのはたとえシーンやカルチャーに金の匂いがしたとしても、今だに根底にある「遊び場」のような感じというか、それを使って面白いことをやろう、という感じはずっと残っているなあ、という点。それには本書に書かれているように「遊び場」の環境づくりを計ったクリプトン社の功績もが大きいのだろう。誰もがクリエイターとして遊べるように環境を整えようとしたその姿勢は、個人的にとても支持できる。そして、「遊び場」をベースに一つのシーンは築き上げられ、初音ミクは現在の日本のポップカルチャーのひとつのアイコンとしての地位を確立した。御存知の通り。



★★★



本書ではボーカロイドというカルチャーは80年代からのエレクトロミュージックがあってこそ、とか、このシーンにおいては「だれもがクリエイターになれる」という側面を持っている、とか、誕生以後はコレコレこういう出来事があって、それはタイミングがあってこそこうなった、などなど色々と要所要所を押さえて書かれていて、単純に読み物として面白い。「メルト」がボカロ史の中でそれほど重要な卿であるってのも知らなかったし、サマー・オブ・ラブと結びつけてボカロを語るという点も面白かった。だけど、本の内容云々よりも俺が最も感じたこととしては「俺もやってみようかなあ」という点が挙げられる。

上記したけれど、俺は初音ミクをはじめとしたボーカロイド曲は全然聴かない。それは「ボーカロイドだから」だとか「オタクっぽいから」だとかじゃあなくて、そこで「良い曲」とされている曲が個人的な好みとは全然合わないから。まあ、俺が知らないだけで中にはミニマムな曲を作っている人とかもいるんだろうし、ヒップホップな要素を持った曲を作っている人もいるんだろうけれど。そういうわけで、このシーン/ジャンルは敬遠していた。だけれどもこの「誰もがクリエイターになれる」状況をお膳立てしてもらっていて、かつ面白そうな素材を用意してもらっているのに、それを無視するのも勿体ねえなあ、と思ったりした。

というか、この本はボカロどっぷりで大好き!という人よりも、俺みたいに音楽好きだけれど、ボカロのことはあんまり知らない、っていう人が読んだ方が楽しいんじゃないかな?と思った。



誰か買って^^



Google Chrome: Hatsune Miku (初音ミク) - YouTube