図書館やレンタルや違法ダウンロードで消費されるコンテンツ

うむむ。図書館で本を借りることは全然悪い事じゃないし、俺もよく利用させてもらっている。合法的に無料で沢山の本を読むことができる。んで、能町みね子氏が微妙な気持ちをツイートしたことに対して、批判の意見も出そうではある。「何も悪いことしていないじゃないか」だの「読んでもらってんだから文句言うな」だの。ただ、彼女が微妙な気持ちを抱いたことは理解できるんだよなー。

作品の受け手としてはどちらも同じ価値を得ることはできるんですよ。図書館で借りようが、新品を書店で買おうが。書かれている内容に差異があるってこたーねーだろう。まー、新品は綺麗だし、人の手に触れた本なんて読めないわとか言う潔癖な人もいるだろうし、中には「本棚を埋めたい」という奇特な人もいると思うので、そういう副次的な差異と言うのはあるんだけれど、本質的に享受できるものは変わらない。特に本なんてのは頻繁に繰り返し読み返すということはあんまり無いので、別に買わなくても、、、というのも理解できる。

んで、一方の作り手・書き手としてはどーだろーか。図書館で自分の本が多数の人に読まれるってことは、つまり「得るはずだった利益」が得られない。読み手は価値を得ているのに、書き手は対価を得られていないのは、不公平と言えば不公平ではあるし、死活問題になるかどーかは知らんが、それなりの利益損失ではあると思う。「損失」って言い方が正しいのかどーかは知らんが。



ただ、図書館が無くなったら、例の「図書館で借りて読んだ」と言った人が能町氏の本を買うか?と言われたら多分、買わないと思うんすわ。これは違法ダウンロードやレンタルCDも同じだと考えていて、仮に作品が新品でしか出回っていない世界だったならば、違法ダウンロードされたり、レンタルされるはずだった作品が買われるかといえば、多分買われないだろう。んで、俺も同じで図書館で借りた本ってこれまで沢山あるし、TSUTAYAとかでレンタルしたCDってのも沢山あるんだけれど、そーいう作品は図書館がなければ出会わなかったし、読んだり聴いたりすることもきっと無かっただろーなー、と思う。まあ、金が無い時期だったら「本当は欲しかったけれど、金が無いから仕方なく借りた」ってのもいくつかあるし、市場じゃ出回っていないから借りたってのもそれなりにある。

んで、先の「図書館で借りた」人がこれまで本を買わなかったか?っつーとそーいうことでも無いとは思う。結局どーいうことかというと、「おめーの作品に金を払う価値は無い」ってことなんじゃないすかね。まあ、先の図書館の人がそれを意図して能町氏に言ったとは思わないけれど、仮に俺が同じようなこと言われたら、「金払う価値が無い」って言っている風に捉える。んで、人によると思うんだけど、俺が図書館とかで借りる本ってのは「買うまではいかないけど、タダであれば読む」って感じの本が多い。まー、ケースバイケースですがね。たまたま、読みたいと思っていて、買いたいと思っている本が貸出されていれば、借りる場合もありますが。まあまあ、とにかく「タダだから読む」というケースが多い。レンタルCDの場合もそう。聴きたいけれど、新品で何千円も払って買うのはちょっと、、、けどレンタルの何百円ならいいかな、、、そーいう感じの作品を借りたりしている。



違法ダウンロードみたいな、コンテンツに対価を支払わずにタダで享受している人を叩くのは簡単。ただ、そういうことしている人がコンテンツに金を落としたことが無いわけでもないだろう。結局、そーいうことをするのはその人にとってそのコンテンツに「金を払うほどの価値」が無いからだと思う。

近頃(でもないか)、音楽業界が必死こいて「違法ダウンロード撲滅!」みたいな声を挙げて、利益の回復に励んでいる。が、違法ダウンロードが全く無くなったとしても、音楽業界の利益はちょっとは回復するかもしれないけれど、多くは回復しないだろう。だって、金を払う価値を感じていないんだもの。「え?金払うの?じゃーいいわ」って感じになるんじゃないだろーか。

んで、消費者にコンテンツに金を払う価値があると思わせなければいけない!ってことに気付いているのが秋元康、で生まれたのがAKB商法じゃないだろーか。AKB商法は個人的に好きではないんだけれど、消費者に価値を感じさせるという点では上手いやり方だなー、とは思う。



あ、特に結論は無いっす。ただ、違法ダウンロードはともかく、図書館やレンタル店ってのは消費者側としてはありがたい存在である。買うほどでもないけれど、興味あるコンテンツに出会える場でもあるし。んで、クリエイター側としても無下に扱うのではなく、撒き餌的な感じに捉えればいいんじゃないすかね。図書館やレンタル屋で出会ったのをきっかけに、金を落とすファンになることはよくよくあることだろーし。いくら反対したり、微妙な感情を抱いたとしても図書館やレンタル店ってのは今さら無くならないし。「その程度なら読んでもらわなくて結構!」と言うクリエイターもおるかもしれんが。

当然、クリエイター側としたら買ってもらうのがベストだし「借りて、安い値段orタダで消費しました」みたいなこと言われたらよい気分ではない、というかなんか寂しい。その程度かぁ、って感じ。