表現者の性差を考える

読んだ。

女子がBlogを始めるなら、はてなブログがお薦め! - 斗比主閲子の姑日記

「はてな女子」というカテゴリがあるのは知っていたけれど、なるほど、カテゴリの分け方は結構いい加減なんだなー。
そして、そのカテゴリに分けられることに対して「なんだかなー」って思っている女性もいるということも知った。

「はてな女子」ってなんだろう - 生活とバウムクーヘン

将来的に「はてな女子」枠に認定されて、PVやブクマが増えて、承認欲求が満たされるかもしれない。でも、それって認められたことになるのかな、と少しだけ疑問にも思ったりする。
男であることは有利に作用しないのに、女であることは有利に作用するというのは、わたしのように女であることにコンプレックスを抱いているような人間には、何だか妙な気持ちになる。
性別とか抜きにして、パーソナリティで判断してほしい。どんな局面でも、そう願いながら生きてる。


はてな女子になりたいようなそうでもないような - がちゃまにあ日報

メンタルが強くないせいか、こういうことを言われるとデメリットの方ばかり気になってしまう。
結果、「はてな女子になりたい!」とは思えなくなっちゃうのよねえ。

性差で判断されることを嫌ったり、目立ってしまうことによるデメリットが大きすぎることを嫌ったり。
両方とも言っている事はごもっともなので、その気持ちはよく分かる。
そして、その逆もまたしかりで女であることを武器にしたがったり、目立つことによるメリットを求めるということも理解できる。
「はてな女子」を全面的に肯定したエントリは見当たらなかったのだけど、そういう風にしたたかに考えている人もいるだろう。

性差により成果の受け手の評価は変わる

先に言っておくが、俺には男尊女卑の思想は無い。

男性が多い、とある分野において女性が何か成果を残すとしよう。
その成果自体の出来不出来にかかわらず、「女性なのにすげー」という評価がされがちである。
男女平等であるべき、という現代なのに成果うんぬんの前に性差を注目しがちになってしまう。
それこそ、id:negi_a氏が言うように「性別とか抜きにして、パーソナリティで判断してほしい」という声は届かず、性別を抜きにせず、パーソナリティー(成果)で判断されない、というシーンがよく見られる。
作家にしろ、音楽にしろ、そしてブログにしろ、表現者に男性が多いとされる世界の中で、女性がある成果を残した時には「女性なのに」という枕詞はどこまでもつきまとう。
例えば、田渕ひさ子(toddle,bloodthirsty butchers)のギターやYOSHIMI(boredoms,OOIOO)のドラムが評価される時にも「女性とは思えないような」とか「女性離れした」とかそういった性差を意識した言葉を使われることがよくある。
俺自身も彼女たちのギターやドラムが凄い好きで、その演奏自体に魅力を感じているにもかかわらず、ライブを見ていたりすると不意に「女性なのに凄いな」なんて思ってしまう瞬間がある。
そして、そういう自分が凄く嫌だな、と思ってしまう。

逆もまたしかり。
女性が多いとされる分野で男性が成果を残すと「男性なのに」という枕詞がついてしまう。

そして、はてなは男性が多いコミュニティだ。
だから、女性が良いエントリを書いたりすると、変に注目されてしまっているのではないだろうか。
「女性なのに」面白いこと書いている!ってことで。
ブログなんて、男性だろうが女性だろうが面白い事書く人は性差関係なくおもしろいし、面白くないやつは性差関係なく面白くない。

俺自身ははてなというコミュニティの中で女性が優遇されている現状を見ても、それに対して「男性が不利だ!むかつく!はてな男子というカテゴリも作れ!」とは思わない。
ただ、ブログという表現においては「男も女も関係ないんじゃない?」とは思ったりする。
そして、そういうある種の表現の中に性差を考慮に入れてしまったはてなってどーなの?って思ったりする。

もちろん、女性にしかできない表現、男性にしかできない表現ってのはあるとは思う。
ブログはそれぞれの生活が反映されやすいし、男性と女性の生活は異なる。
あと、ひきこもりえっちみたいなブログを男が書いていたら気持ち悪いし。

まあ、はてなが女性ユーザを増やしたい、という思惑があるのも間違いないだろうけど。
だからこそこういうカテゴリ分けをしているんだろう。
何でか女性ユーザを増やしたいかは知らん。

結局はそのコミュニティが男性的であるか、女性的であるか

男性が多いコミュニティでは女性が特別視されやすいし、女性が多いコミュニティでは男性が特別視されやすい。
結局、それだけの話だし、当たり前な話であるかもしれない。

ただ、それにより発揮した成果が変に持ち上げられるのも「何だかな~」とは思ってしまう。
それは有利だの不利だのどうのではなく、槍玉に挙げられやすいという点で。
同じ事をやっていて、成果を残しただけなのに、自分でコントロールできることなく目立ってしまって叩かれやすくなる。
その根本的原因が性差ということもあるだろう。
社会的には散々、男女平等やら機会均等やら言われているけれど、人の内側での性差別への意識は根深いものなんじゃないか。

俺も聖人ではないから、無意識的に同じように性差別的に考えてしまうことはままある。
きっと、このエントリの中でも「いやいや、差別してますやん」って捉えられてしまうような内容はあるかもしれない。

あと「男性社会で頑張る女性を応援しよう!」っていう気概は間違っていないとは思う。