形骸化されたルール

今日、電車乗っていると「おい!」という怒号が聞こえてきた。
「なんやなんや」と様子を見てみると、どうやら、優先席付近でパズドラだろうか、twitterだろうか、はたまた2chまとめを見ていたのかは定かではないが、スマートフォンをいじくり倒していた人がいて、初老の男性がその日に「優先席だから携帯電話電源切らんかい!」とお怒りになっていた。
携帯弄っていた人は「チッ、うっせーな」という表情を隠すことは無く、しぶしぶ携帯電話をカバンにしまう。
電源を切ったかどうかは定かではないが、兎にも角にもその方が携帯の使用をやめることで、その場は収まった。

その様子を見て「まあ、一応ルールというかマナーやし、怒られても文句言えへんわなぁ」と思った。
だけど、俺自身も流石に電車で通話したりはしないけれど、優先席付近でも電源は切ることは無いし、携帯弄ったりする。

ルール・マナー通りに電源を切る人は希少だ。
電車乗って優先席付近にいても、携帯電話を弄っている人は多い。
というか、優先される対象である老人や妊婦も携帯弄っていたりする。

みんなは「優先席付近では携帯電話の電源は切りましょう」とルールを知らないのだろうか。
そんなワケ無いだろう。
車内アナウンスはしつこいほどされているし、車内にステッカーだって貼ってたりする。
だが、それらを守る人はとても少ない。

何故、優先席付近で携帯電話は使用禁止なのか?

何年も前から優先席付近では携帯電話の電源を切りください、というルールは知っている。
なんで切らなきゃいけないのか。
「携帯電話が発する電磁波がペースメーカーに悪影響をもたらすから」というのが俺の認識だったけど、何かほかに理由あったかなー、と思ったんでgoogle先生に聞いてみた。
そこからヒットした記事を幾つかピックアップ。

地下鉄でのケータイ“圏内”拡張と優先席でのケータイ禁止の矛盾

議論:「電車内での携帯電話の使用禁止ルール…」現状のままで適切だと思う?

なぜ優先席付近では携帯の電源を切るのか〜ルールの意味を考えない大人たち - ゲームなミカタ

流し読みしたところやはり、「ペースメーカーに悪影響を及ぼすから」という理由のみが今でも携帯電話使用禁止の根拠のようだ。

ペースメーカーに影響を及ぼしたら大変だ、もしかしたら使用者に死亡のリスクがあるかも、なんて思うかもしれないが、実際のところペースメーカーを使用している人は身の回りにいないし、携帯電話の電磁波が原因で使用者が死亡したとニュースも無い。
さらには「携帯電話の電磁波なんて、ペースメーカーにほとんだ影響与えないよ」っていう言説も溢れ返っている。
そういう実状があるから、誰しもがわざわざ電源切るなんてめんどくさい事しない上、暇だから優先席で携帯を弄る。

そんなわけで「優先席で携帯電話は使用禁止」というルール・マナーはただあるだけで、形骸化されてしまっているのが現状。
殆どの人が守らないし、守らない人がいたとしても殆どの人が文句を言わない。
だって、前に座っている人がただ携帯弄っていても別に迷惑じゃないし、ほぼノーリスクって分かっているのに守るのもなんかアホくさい。

上に挙げた3つの記事でもこれらのルールについては疑問を持っているようだ。

形骸化されたルールは不和をもたらす

そんな現状ではあるが、今日みたいにそういうルールがあるから怒る人がいる。
怒っていた人がペースメーカー使用者だったら微粒子レベルで自分の命にリスクがあるわけだから、まあ怒るのも分からなくは無い。
だけど、正義感が空回りした人とか、ルールを盾にただ怒りたい人とかもいるはずだ。
怒られた人は、別に何も起こらへんねんから別にええやんけ、ムカつくわ、といった逆ギレの原因になるし、醜い言い合いの原因にもなる。

厳密に守らなければならないルールならば、守らない人を指摘するのは是であるし、指摘する人を支持するであろうし、守らない人は凶弾されても仕方ない。
が、形骸化されたルールを強要する様子を見た時は「まあ、一応ルールやしなあ」と思う一方で、指摘する人に対し「なんだかなぁ」と思う自分もいるわけだ。
今日もそう思ったし。

そんな形骸化されたルールは誰も得しないし、不和の原因になるだけだから無い方がいい。


ただ、仮に携帯禁止のルール撤廃したら色々な団体から文句言われるのは確実だわな。
鉄道各社も「アホくせーなー」と思いながら、面倒事を避けるために名ばかりのルール・マナーを掲げているんだろう。