爺さんと煙草

来の夢、というと子どもっぽいというか、もう今が将来やないかい、というツッコミがされそうだけど、とりあえず「半纏を着て、公園などで将棋打ったりする、怒鳴り散らすジジイ」というのが2014年現在の将来の夢である。死んだ爺さんがまさにそんな感じやったなあ。俺にとっての爺さんはすでにジジイだったわけだけれど、爺さんがジジイじゃなかったころは某財閥系のええとこのポジションにいたらしく、ジジイの時の感じからは全く想像がつかんなあ、という話は置いといて、そういうジジイになるには個人的に「煙草」というのは必須のアイテムであると勝手に考えている。別に煙草が無くたって、そんなジジイにはなれるんだけれど、やっぱり煙草があったほうが様にはなる。俺もバリバリの喫煙者なので、そういうジジイになる資格、というか可能性は十分ある。

禁煙する - grshbの日記にも書いてある通り、id:grshb氏が禁煙するらしいんだけれど、俺も禁煙は何度も考えた事がある、というか何度もチャレンジしているわけだけど、毎回毎回失敗している。意志が弱い、さすらいのニコチン野郎。それが、俺。一日一箱は吸わないけれど、コンビニで480円もするアメリカンスピリット(黄色)をしょっちゅう買っている。ついでに死んだ爺さんも禁煙をしようとしたことがあるらしいが、一日しか持たなかった、とウチのオカンが昔言っていた。意志が弱いが、それでこそ爺さんという気もする。爺さんはセブンスターを一日二箱くらい消費していた。爺さんが生きていた時、おつかいを頼まれて、というかそれが所謂「はじめてのおつかい」かもしれないし別にそうじゃないかもしれないんだけれど、それともかく、セブンスターを買ってこい、と言われて買いに行った。今の時代だと色々と厳しいので、子どもが煙草買いに行くと店員に断られるのが当たり前だけれど、平成初期の頃はまだまだ緩くて、子どもが「おつかいだから」という理由で煙草を買いに行く、なんて光景はザラだったと思う。んで、セブンスターを買いに行った。煙草を吸わない人は分からないと思うので書くけれど、同じ銘柄の煙草でもパッケージにソフトとボックスという二種類が存在する。んで、ウチの爺さんが吸っていたセブンスターはソフトだったんだけれど、そんなん知らんかった俺はボックスを買った。当然「違うやないか」というのは言われたんだけれど、こんな俺でも爺さんにとっては孫であって、孫というのは可愛いらしく「○○が買うてきたから、いつもより旨い気がするわ」だのと言って、煙草をくゆらせていた。

爺さんは将棋もしょっちゅう打っていて、公園やら近所の将棋センターに良く行っていた。俺も将棋のイロハを教えてもらい、爺さんと打ったり、近所の公園で知らんジジイと打っていたんだけれど、熟練のジジイどもにはガキの俺が勝てるわけもなく、飛車角落ちでコテンパンにされていた。そして、将棋を打つ時にも当然のように爺さんの指には煙草が挟まれていた。爺さんが棺桶に入った時も一緒に入れてやったのはセブンスター。墓参りにもセブンスター。なんてことをふと思いだした。まあ、煙草なんて百害あって一利なし、というように金もかかるし、健康にも良くないし、周囲の人から嫌われる要素にもなる。でも、その人を思い起こすアイテムにも成りえるよね、という話。爺さんといえばセブンスター、とは流石にならないけれど、セブンスターといえば爺さん、というくらいにはなる。

とりあえず、件の夢を叶えるために本田プロデュースの夢ノートでも買おうかしら。