仕事の空き時間を利用してipadから映画をレンタルしてみた。ボケーっと観ることができて、疲れない映画が良かったので、この前も書いたバンクシー監督作品の『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』をチョイス。公開当時に映画館で観たんだけど、観るのはそれ以来。
HD画質が500円、SD画質が400円という感じだったんだけど、ダウンロード時間等などの事を考えてとりあえず、SD画質にしておいた。
バンクシーについてはこちらをどうぞ(手前味噌)
ババンバ・バンクシー - ロックンロールと野球とラーメン
感動大作じゃないが・・・教訓になるかも
映画冒頭のバンクシーの言葉。
ブログ論において「何を書いたか?ではなく誰が書いたか?が重要」という主張がある。また、反対に「いや、誰が書いたかではなく何を書いたかが重要だ」という意見もあるのだが、まー、基本的に俺は前者の主張を支持する。というか、実際そうだろう。
アートの世界においてもそれは同様だ。壁に描かれたストリートアートもバンクシーのように名がある人が描けばそれは価値のあるもの、無名の人が描けばただの落書きでしかない。ストリートアートだけではなく、様々な種のアート…絵画、彫刻、陶芸…全ては「その人」の作品であるからこそ、価値のあるものとして扱われる。
主役(?)のティエリーはビデオカメラ狂いのアメリカ在住フランス人。様々なアンダーグラウンドシーンのアーティストを映像に収め、奇跡的にバンクシーとも出会い、彼らの活動を記録していく。バンクシーの提案でそれをドキュメンタリー作品として編集してみるが、作品は嘔吐物をぶちまけた様な出来。その映像を観たバンクシーはティエリーに「アーティストとして活動してみたらええんちゃう?」とそそのかす。
ティエリーはMBW(ミスター・ブレイン・ウォッシュ)と名乗りアーティスト活動を始めてみるものの、信念もメッセージも哲学もスタイルも何も無い彼の作品は過去のアーティストの模造品、猿真似、まがいものでしかない。実際の作品の制作はスタッフ任せ、アイディアは出すものの全て思いつきでしかなく、そのアイディアも陳腐極まりないもの。
さて、彼は個展を開催することになったが、それに辺りバンクシーの力を利用した。パイプを持ち、今やアート界に強い影響を持つ彼に推薦文のコピーを打ってもらったところ、それは大当たり。個展は大盛況、作品は何万ドルもの価値が付けられるようになった。MBWはポップアート界のニューカマーとして人々に受け入れられることとなった…。めでたしめでたし。
あらすじはこんなところだけれど、さて、果たして「めでたしめでたし」なのだろうか?少なくともMBWにとっては「めでたしめでたし」ではあるが。
まず、俺がこの映画を観て感じたのは「怖いな!」ってことだ。別にホラーとかじゃない。MBWの作品を持て囃している人々を映像越しに見れば「こんな偽物に騙されて、アホやなー」と嘲笑うことが出来るが、そういうMBWの裏の姿を知らなければ、俺自身もきっと偽物に騙されてしまっているだろう。
一度、評価されてしまえば偽物であっても、その人は本物として見なされ、創作物は「価値あるもの=アート」として人々は見なす。言ってしまえば「ただのでっちあげ」でしかなくても何かしらのハクが付けば、評価されてしまうのが現代のアートなんだろう。
何が偽物なのか?何が本物なのか?アートに限らない、表現物の「在り方」をこういう形でシニカルに描いたバンクシー。なかなかエグい事をする。俺達が聴いている音楽、観る映画、目にするアート、読む文章。それらは本物なのか?ただのゴミ屑を崇めていないか?そして、本物なのか、偽物なのかを見極める事が出来るのか?中々、難しいんじゃないだろうか。
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ところで
itunesで初めて映画をレンタルしてみたんだけど、これすごくいいですね。400円というと、まーTSUTAYAとかよりは割高なんだけれど、「あ、何か映画観たいなー」って時にさっとチョイスできてサッと観る事が出来る。返却の煩わしさも解消できる。俺は何度も延滞金に苦しんだことがあるので。。。今回はSD画質で観たんだけど、特に不満を感じる事は無かったなー。ダウンロード時間も10分少々だったし、容量も2GB弱くらいだったし。
ただ、一度観たら48時間以内に観なけりゃいけないってのがなー。DVDレンタルだと気に入ったらその期間中、何回も繰り返し見る事が出来る。まあ、1週間のうちに何度も同じ映画を観るって滅多にないんだけどさ。