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小林賢太郎演劇作品『うるう』@本多劇場

 2/21の昼公演。下北沢の本多劇場に行って、小林賢太郎演劇作品『うるう』を観た。おれは小林氏の作るコントや演劇などは好きなのだが実は舞台で観たことがなかった。というか、そもそも演劇やコントなどを生で観る、という習慣が無い。音楽はライブで観ることが多いのだが。そういったものはテレビやパソコンのモニター越しで観るばかりであった。だけど、なんだか観てみたいな、という気分になったので観た。チケットは取りにくいだろうなと思っていたのだが、割と簡単に取ることができた。

 この公演に関して、おれはほとんど予備知識を持たずに観に行った。どうやら4年前の閏年である2012年にも同じ公演が行われたらしい。同じく閏年である2016年に再演、ということのようだ。内容に関しては小林氏が演技を行い、チェロ奏者である徳澤青弦(名前がめちゃくちゃカッコイイと思うのだけれど、どうですかね)がBGMを担う、というくらいしか知らず、あらすじも何も知らない。

 東京に来て10年経つがおれは初めて本多劇場に足を踏み入れた。下北沢にも住んでいたことがあったのに勿体ないよなあ、と思う。会場はそれほど大きくない。特に幕なども下りておらず、舞台の上にはシンプルなセット。あと、チェロ。それほど前の席でも無かったのだが、会場がそれほど大きくないおかげで細かい表情の演技なども見ることが出来そうだ。携帯電話はちゃんと電源をOFFにして、14:00の開演まで待つ。時間が近づくにつれて、周囲の客のざわめきも静かになっていき、徐々に緊張感に包まれる。演劇やミュージカルを生で観る時の始まる直前と直後のピリピリとした緊張感って、おれは結構好きだったりする。このドキドキ感というのは本当に独特だよな、と思う。

 そうこうしているうちに、客電が少し落とされ、舞台の上に徳澤氏が登場し、チェロを奏でる。チェロの音に合わせて客電が徐々に落とされていく。そして、舞台の背景に文字が浮かび上がる。「あの森に行ってはいけません うるうというおばけが出ますから 高い高い木の上で うるううるうとないている おばけが出ますから」

 以降はネタバレになるので書かないのだけれど、とにかく面白かった。コントを織り交ぜながら、ストーリーを進めていくというスタイル。おれは笑うときの声が引き笑いでしばしばカミさんから「気持ち悪い」と言われるのだが、その気持ち悪い引き笑いをコント中に連発してしまった。気持ち悪い笑い声だろうが、面白かったら笑ってしまうので、仕方がない。ラーメンズでもコントを交えた綺麗な物語もあったりするのだが(「銀河鉄道の夜のような夜」とか)、この「うるう」の物語も綺麗だった。というか、なんとなく宮沢賢治を思い出した。物語単体でも面白かったと思う。映像を使った演出も面白かったし、舞台効果も良かった。そんで、ラストシーンは「やられた」って思った。ベタなのかもしれないけれど。ナマモノなのですべてがダイレクトに伝わってきた。

 以前、小林氏が「面白さはいろんな種類があって、そのいろんな面白さを表現したい」みたいなこと(うろ覚え)を本で書いていたのだけれど、そのいろんな面白さが詰まっているな、と思った。いやあ、面白かった。面白かった、面白かった、ってまるで語彙の無いアホ(間違っていないが)のような感想だけれど、面白かったので仕方がない。

 千秋楽は2/29の閏日。それまでに何回か公演がある。チケットは当日券もあるみたいなので、行ける人は行った方が良い。おれも余裕があればもう一回くらい行きたいな、と思ってる。