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道満晴明『ニッケルオデオン』赤・緑・青を一気読み

ニッケルオデオン 青 (IKKI COMIX)

ショートの名手・道満晴明が魅せる、毎回8ページの読み切り連載。
女子高生と虎と深夜の動物園で……「Heart Food」。
珍品のコーヒー豆を手に入れたワケは「コピ・コピ・ルアク」。
絶対に負けられないしりとりがある?……「ファニーゲーム」etc. etc.。
愛しいような、切ないような、笑ってしまうような…そんな何かのカケラたち。

IKKI 連載作品紹介−[ニッケルオデオン]道満晴明

 一気読みっつっても全三巻の漫画なんだけど。ページ数もそんなに多くない。とはいえ、単行本は薄いけれど中身はものすごく濃い。赤が一巻、緑が二巻、青が三巻(最終巻)という感じ。内容はというと上記の引用のとおり、何でもありのショートショート。ギャグ、SF、ファンタジー、ホラー、ギリギリのパロディ、微エロ、BL、飲尿、などなどいろんな要素が三冊にぶっこまれている。一応、いくつかストーリーに繋がりもある。

 道満晴明のキャッチーでポップかつミニマルな絵柄が非常に好みの作家。そして、その絵柄がミニマルなストーリーにも非常にマッチしていると思う。この三冊に収められた短編はどれもこれも語り過ぎない、けれど決して言葉足らずじゃない。そして残る余韻。そのバランスがめちゃくちゃ良いと思う。作者のTwitterをみたところ様々な映画に精通しているようで、それらの影響も垣間見ることができた。個人的には映画に関しても語り過ぎない作品が好みなので、この『ニッケルオデオン』も俺の趣味にドストライクです。

 赤収録の「コピ・コピ・ルアク」「竹樋パラダイム」「回収委員と幻肢痛」、緑収録の「契約」「カミサマレガシィ」「水神岩」、青収録の「迷子のチーコ」「かいばみ幽霊」「うたかたの日々」あたりが個人的に好みだけれど、他のストーリーも楽々と「好き」のハードルを越えてくる。っていうか、作者の引き出しの多さには脱帽するしかない。あ、あと書き忘れていたけれど、『SLUM DUNK』の単行本にあるような、オマケの一コマがどのストーリーにもついていて、それもまた面白い。フフッてなる感じ。

 さて。本作はIKKIの休刊?廃刊?に伴い連載終了してしまった。どこかで掲載継続してくれよかったのになー、などと身勝手なことを言ってみたり。『ヴォイニッチホテル』も連載終了するらしいしなあ。まあ、それはさておき『ニッケルオデオン』は大変面白かったです。結構、こういう風に素直に「おもしろかったー」って言える漫画って意外とあんまりない気がする。