90's EMOリバイバルを聴こう

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photo by garr1s0n


2010年前後からだろうか。かつて90年代に活動していた、BRAIDやCap'n Jazz、Promise Ringといったエモ/インディー系の音楽に影響を受けたバンドが続々と登場してきた。メロディックで時にはティム・キンセラのようにキーを外すほどの絶叫を聴かせるエモーショナルなボーカル。前のめりと言っていいほどのドタバタ感が楽しいリズム。それに加えて、複雑に絡み合い、タッピングなどの技術を多用するなどポストロック的アプローチをしながら、パンク/ハードコアらしいジャキジャキしたストロークで聴き手を刺激するギター。それらの音楽的要素に加え、地元志向であったり、フィジカル音源はレコードしかリリースしない、ライブは小さなスタジオなどで行う、といったDIY精神を持つ。こういったバンドがインディシーン/パンクシーンの一種のトレンドとなっている。

Algernon Cadwallader

この90's EMOリバイバルのシーンを最初に牽引したのが、このAlgernon Cadwalladerだろう。ペンシルバニア出身。このバンドの音源がリリースされた時、自分の周辺のバンドマンの間でかなりの話題になった。当然、彼らのような音楽性を持ったバンドは前々からいた。それらのバンドと何が違ったのか?というとやはりメロディック、キャッチーさというポイントじゃないだろうか。NO IDEAがリリースするような、渋い系のメロディックサウンドから影響+キラキラしたサウンドは当時は相当刺激的だった。

そして、このEMOリバイバルは彼らの地元であるペンシルバニアを中心に徐々に広がっていく。

Snowing

Algernon Cadwalladerと並んでこのシーンの重要バンドだと思うのが、同じくペンシルバニアのバンドSnowing。Algernon~と似たような音楽性ではあるけれど、Snowingの方がよりメロディック、よりパンクなサウンドだと個人的には思う。そして、今エモリバイバル的サウンドを鳴らすバンドの多くが、このSnowingに近いアプローチで楽曲を作っていると思う。いやはや、今聴いてもやっぱりカッコいいな。キンセラ兄弟の影響が色濃く感じられる。

1994!

さて。この手のバンドは何故かすぐに解散してしまうというケースが多い。先ほど挙げた2バンドとも既に解散している。まあ、あくまでインディーで活動しているバンドだから、メンバーにも仕事・家庭の事情というのがあるのだろう。しかし、このブログでも何度か紹介している1994!はまだ活動していて、この手のバンドにしては比較的、長生きしている印象。Algernon~やSnowingと同じくペンシルバニア。彼らとsplitもリリースしている。

このバンドはパンクというより、むしろハードコア。バカテクなギターとドタバタドラムに絶叫がたまらなく最高。驚くことにGt/Vo+Drの2ピースバンド。いや、マジでスキルがハンパねーっす。去年(だったっけ?)3枚目のLPがリリースされたんだけれど、エモリバイバルサウンドの色は随分少なくなっている。

Their/They're/There

上記に挙げた3バンド以降にも色々とバンドが登場し、音源もリリースされているんだけれど、やっぱり後追い感と言うのは少し否めない。いやいや、カッコいいバンドもあるんだけれど「うーん、これだったらSnowing聴くなあ」と言うバンドばかり。なので、音源も買ってはいるのだけれど、なかなかスマッシュヒットしないなー、と思っていたら、今年買ったTheir/They're/Thereは久々にキタ。ってこのバンド、マイク・キンセラがドラム叩いている。そう、90's EMOリバイバルバンドに影響を与えまくったCap'n Jazzのメンバー。なんという自己言及感、というのはあるんだけれど、カッコいいものはカッコいい。

malegoat

では、こういった音を出すバンドは日本にはいないのか?そんな事は無い。日本のバンドとなるとやっぱり八王子のmalegoatは外せない。Algernon Cadwalladerとアメリカでツアーも回ったことあるし、最近ではempire!empire! (i was a lonely estate)とsplitもリリース。日本のバンドではあるけれど、このムーブメントの中心バンドの一つと言ってしまってもいいんじゃないだろうか。近々、akutagawaとsplitをリリースするそうなのでそちらも非常に楽しみ。


★★★★★


まあ、そんなにディープに知っているわけじゃないので、非常に浅く代表的なところだけを紹介。Growin UpやらTigers JawYou Blew It!とかもカッコいいのだけれど、あんまり動画張りすぎるとページが重くなってしまう。気に入ったら、後は自分で探してみてください。そうやって、自分が好きそうな音源を買って探していくのも音楽の楽しみ方の一つだと思うので。たまにはハズれを引く時はあるけれど、それもまた一興。まあ、今は事前に視聴とかできるのでハズれは引きにくくなっているが。最近は通販で買うことが多く、WATERSLIDE RECORDSは良く使わせてもらっている。エモリバイバルだけじゃなくて、メロディックネオアコっぽいサウンドの音源の品ぞろえとチョイスが非常に良い。

余談だけれど、一時期Fall Out BoyやらMy Chemical Romanceやら、その他前髪を伸ばした奴らがエモだの何だので持て囃されていたけれど、俺からすると、あんなのは全然エモじゃない。エモじゃない何かだ。何かは分からないけれど。ハードコアの精神も何も無いバンドがエモを名乗ってんじゃねえ、と思ってしまう。エモ好きです、と言うとあーいうのが好きなのかー、と思われそうでそれが非常に嫌だ。


Parrot Flies

Parrot Flies